Dimensions IV - art is
Ginza New Gallery
2025.11.28 - 12.27
ホワイトストーンギャラリー銀座新館ではこの度、気鋭のアーティストを集めたグループ展『Dimensions IV-art is』を開催いたします。
未来を担う若手アーティストのプラットホームである『Dimensions*』。4回目となった今展に登場するのは安藤しづか、原澤亨輔、山下千里 (敬称略/五十音順)。それぞれ独創的な世界観を構築している彼らに通底するのは、日本画で鍛錬された確かな画力。未だに洋画との対比で語られることもあるものの、「新しさ」の追求のもとに様々な実験や接近を繰り返しながら、日本画が「現代美術」のフィールドで語られることも多い。しかしながら、三氏が表出する世界には、「コンテンポラリー」という言葉がまとうエッジの鋭さも、難解なコンセプトの鎧も、屹立する自我も見受けられない。むしろ、西洋合理主義が限界に達し、飽和しきった現況への静かな眼差しが印象的だ。過剰に溢れる情報、環境変動、生態系の異変、他者との境界の喪失やそれと背中合わせの孤絶、など-もはや想定外がデフォルトとなってしまった世界。
そのような今における「アートとは?」、「描くこととは?」。
三氏は語る。
「理解され得ないまま共にある」という静かな肯定の空間(安藤)
現代人の霧に包まれたこころの奥底に触れ、その生来の美しさを覗き見る窓(原澤)
各々が持つ精神性を尊重し思いやる想像力を携えたもの(山下)
今展の副題 “art is” は、「AはBである」の定義文の述部をあえて解放し、答えを出していない。
アートが何であるかは百人百様。精緻な描写の背後には、無数のリアリティが拡がっている。
三人のアーティストが編み出すイマージュに観る人それぞれの想いが感応しあい、静かな連鎖となって「私にとってのアート」に想いを馳せる機会となることを願う。
皆さまのご来廊を心よりお待ち申し上げます。
"The Spirit of the Moon - In the Hall of Lantern” 2025, 91.0 × 72.7 cm
ふたつの灯
2025
Ink, Suihi, Mineral pigment, Tengujo paper on kochi hemp paper
61.0 × 50.0 cm
編む
2025
Ink, Suihi, Mineral pigment, Tengujo paper, Foil on kochi hemp paper
61.0 × 45.5 cm
輝き Ⅱ
2025
Acrylic, Mineral pigment, Tengujo paper on kochi hemp paper
116.7 × 80.3 cm
輝き Ⅰ
2025
Acrylic, Mineral pigment, Tengujo paper on kochi hemp paper
116.7 × 80.3 cm
夢はひとりで見るものですので Ⅱ
2025
Acrylic, Mineral pigment, Tengujo paper, Foil on canvas
72.7 × 60.6 cm
夢はひとりで見るものですので Ⅰ
2025
Acrylic, Mineral pigment, Tengujo paper on canvas
72.7 × 61.0 cm
夢を見せるのが仕事ですので
2025
Ink, Suihi, Mineral pigment, Tengujo paper, Foil on kochi hemp paper
61.0 × 50.0 cm
道化師 Ⅱ
2025
Ink, Suihi, Mineral pigment, Tengujo paper on kochi hemp paper
61.0 × 50.0 cm
月の妖精 灯幻館にて
2025
Ink, Suihi, Mineral pigment, Tengujo paper on silk art cloth
72.7 × 91.0 cm
藪の中
2025
Ink, Suihi, Mineral pigment, Tengujo paper, Foil on kochi hemp paper
60.7 × 73.0 cm
髪飾り
2025
Ink, Suihi, Mineral pigment, Tengujo paper, Foil on kochi hemp paper
45.5 × 60.6 cm
紅をさす
2025
Ink, Suihi, Mineral pigment, Tengujo paper on kochi hemp paper
50.0 × 61.0 cm
月の妖精
2025
Tengujo paper, Mineral pigments, Suihi paint on silk art cloth
116.7 × 91.0 cm
幼いころから、太陽よりも月の方が好きだった。
幼少期を過ごした田舎の家のまわりには灯が少なく、月の明るさがよくわかった。
ただ、神秘的な月の妖精を描きたかった──
それだけだったはずなのに、筆を動かしているうちに、 なぜか“ひとりぼっちの慰め”のような気配が絵に宿った。
月の光のように静かで、どこまでも遠い存在。 灯幻館の舞台裏には、そんな妖精がいてほしいと思った。 月の光の時間帯にしか現れない、小さな観客たち。 静かに、ただそこにいて、役者の呼吸に耳を澄ませている。
背景はあえて明るい水色にした。 まだ明るい時間帯に見える月のように、静かな存在感を描きたかった。
小さな道化師
2025
Tengujo paper, Mineral pigments, Suihi paint on kumohada mashi
50.0 × 60.0 cm
子供のころ、大人たちから「子供らしくてかわいい」と言われるための演技をした。 些細なことに大袈裟にはしゃぎ、今思うと道化師のようだった。 そのように思ったのが、この絵を描くきっかけだった。
背景にはグレーの絵の具を塗り、その上から青みがかった典具帖紙や薄紫の典具帖紙を重ね、 最後には砂子入りの典具帖紙を貼り、複雑な色味の夜空と星のキラキラを表現した。 衣装は、部分的に白の典具帖紙をちぎって重ねて貼って、 空に浮かぶ雲のようなグラデーションを表現した。 普段は典具帖紙を全体的に貼って終わりなので、これは新しい挑戦だった。
衣装のデザインや背景は子供らしい世界観でまとめ、役に集中する大人びた表情との対比を表現した。
役をまとって
2025
Tengujo paper, Mineral pigments, Suihi paint on kumohada mashi
72.7 × 60.6 cm
役に徹することで、生まれてしまう人格がある。 私がそのことを初めて実感したのは、思春期だったと思う。 家族の前の自分、友達の前の自分──
それに加えて、 「女性としての自分」が初めて意識に浮かんだのもこの頃だった。
若い女性の役者を表現する上で、 一番気を遣ったのは色使いだった。 背景には何種類もの典具帖紙を貼って、最終的に柔らかい暖色の背景にできた。 また、肌の色は血色も意識しつつ、透き通るような色になるように拘った。
ふたつの灯
2025
Ink, Suihi, Mineral pigment, Tengujo paper on kochi hemp paper
61.0 × 50.0 cm
編む
2025
Ink, Suihi, Mineral pigment, Tengujo paper, Foil on kochi hemp paper
61.0 × 45.5 cm
輝き Ⅱ
2025
Acrylic, Mineral pigment, Tengujo paper on kochi hemp paper
116.7 × 80.3 cm
輝き Ⅰ
2025
Acrylic, Mineral pigment, Tengujo paper on kochi hemp paper
116.7 × 80.3 cm
夢はひとりで見るものですので Ⅱ
2025
Acrylic, Mineral pigment, Tengujo paper, Foil on canvas
72.7 × 60.6 cm
夢はひとりで見るものですので Ⅰ
2025
Acrylic, Mineral pigment, Tengujo paper on canvas
72.7 × 61.0 cm
夢を見せるのが仕事ですので
2025
Ink, Suihi, Mineral pigment, Tengujo paper, Foil on kochi hemp paper
61.0 × 50.0 cm
道化師 Ⅱ
2025
Ink, Suihi, Mineral pigment, Tengujo paper on kochi hemp paper
61.0 × 50.0 cm
月の妖精 灯幻館にて
2025
Ink, Suihi, Mineral pigment, Tengujo paper on silk art cloth
72.7 × 91.0 cm
藪の中
2025
Ink, Suihi, Mineral pigment, Tengujo paper, Foil on kochi hemp paper
60.7 × 73.0 cm
髪飾り
2025
Ink, Suihi, Mineral pigment, Tengujo paper, Foil on kochi hemp paper
45.5 × 60.6 cm
紅をさす
2025
Ink, Suihi, Mineral pigment, Tengujo paper on kochi hemp paper
50.0 × 61.0 cm
月の妖精
2025
Tengujo paper, Mineral pigments, Suihi paint on silk art cloth
116.7 × 91.0 cm
幼いころから、太陽よりも月の方が好きだった。
幼少期を過ごした田舎の家のまわりには灯が少なく、月の明るさがよくわかった。
ただ、神秘的な月の妖精を描きたかった──
それだけだったはずなのに、筆を動かしているうちに、 なぜか“ひとりぼっちの慰め”のような気配が絵に宿った。
月の光のように静かで、どこまでも遠い存在。 灯幻館の舞台裏には、そんな妖精がいてほしいと思った。 月の光の時間帯にしか現れない、小さな観客たち。 静かに、ただそこにいて、役者の呼吸に耳を澄ませている。
背景はあえて明るい水色にした。 まだ明るい時間帯に見える月のように、静かな存在感を描きたかった。
小さな道化師
2025
Tengujo paper, Mineral pigments, Suihi paint on kumohada mashi
50.0 × 60.0 cm
子供のころ、大人たちから「子供らしくてかわいい」と言われるための演技をした。 些細なことに大袈裟にはしゃぎ、今思うと道化師のようだった。 そのように思ったのが、この絵を描くきっかけだった。
背景にはグレーの絵の具を塗り、その上から青みがかった典具帖紙や薄紫の典具帖紙を重ね、 最後には砂子入りの典具帖紙を貼り、複雑な色味の夜空と星のキラキラを表現した。 衣装は、部分的に白の典具帖紙をちぎって重ねて貼って、 空に浮かぶ雲のようなグラデーションを表現した。 普段は典具帖紙を全体的に貼って終わりなので、これは新しい挑戦だった。
衣装のデザインや背景は子供らしい世界観でまとめ、役に集中する大人びた表情との対比を表現した。
役をまとって
2025
Tengujo paper, Mineral pigments, Suihi paint on kumohada mashi
72.7 × 60.6 cm
役に徹することで、生まれてしまう人格がある。 私がそのことを初めて実感したのは、思春期だったと思う。 家族の前の自分、友達の前の自分──
それに加えて、 「女性としての自分」が初めて意識に浮かんだのもこの頃だった。
若い女性の役者を表現する上で、 一番気を遣ったのは色使いだった。 背景には何種類もの典具帖紙を貼って、最終的に柔らかい暖色の背景にできた。 また、肌の色は血色も意識しつつ、透き通るような色になるように拘った。
ABOUT
1991年千葉県生まれ。2018年多摩美術大学美術学部日本画専攻卒業。人生の「ある瞬間」における自他の眼差しを採りこんだ、複眼・客観的な視点をもつ独自の人物像で知られる。安藤の描く人物は内省的な表情を湛える一方で、特定の人物を想起させない曖昧性もあえて残している。制作の初期には夢や無意識を表現するシュールレアリズムの影響を受けるが、しだいに岩絵の具や麻紙といった日本画の天然素材がもつ「原初的で繊細な」両義性に強く惹かれ、その特性を自らの世界観と一体化させた「身心合一」ともいえる画風を形成してゆく。メランコリックな時代性が高精度に浮かび上がる絵肌は、いずれの展示でも高い評価を得ている。
Selected Exhibitions
2025
グループ展『Dimensions IV-art is-』(ホワイトストーンギャラリー銀座新館、東京)
個展 (+DA.YO.NE.gallery、阪急メンズ東京)
2024
個展 (+DA.YO.NE.gallery、阪急メンズ東京)
個展 (H-art Beat Gallery、神保町/東京)
2023
二人展 (Sho+1、上野/東京)
2022
グループ展『PARCO art picnic vol.1』(心斎橋PARCO、大阪)
"Line of the Water City" 2024
ABOUT
1997年東京都生まれ。2018年東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻入学。在学中「KENZAN」展にて新生堂賞(2019)、安宅賞(2020)、「美の舎学生選抜展」優秀賞(2021)等、早くから頭角を現わし、学部3年次には早くも初個展。2022年東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻日本画研究領域へと進む(神山財団芸術支援プログラム奨学生)。東京藝大アートルネッサンス賞2022、台東区長賞、サロン・ド・プランタン賞、月刊美術「デビュー2023」準グランプリ、と立て続けに受賞。2024年には故・平山郁夫の協力のもとに創始された伝統ある「有芽の会」展にて法務大臣賞を受賞したほか、大学院修了制作が帝京大学買い上げとなる。内観と現実への透徹した眼差しが交錯した、静寂や喧噪、湿度までも感じさせる繊細な画風は、深い余韻をのこす。
現在、東京藝術大学大学院美術研究科美術専攻博士後期課程2年在学中。
Selected Exhibitions
2025
グループ展『Dimensions IV-art is-』(ホワイトストーンギャラリー銀座新館、東京)
グループ展『モダンジャパニーズペインティングス』(そごう池袋西武本店)
2024
個展『原澤亨輔展』(ギャラリー和田、東京)
2023
個展『空』(耀画廊、東京)
2022
個展『記憶の風景』(Gallery美の舎、東京)
2021
個展『原澤亨輔展』(新生堂、東京)
グループ展『hope展』(アートスペース羅針盤、東京)
"addiction" 2024
ABOUT
東京都出身。筑波大学大学院人間総合科学研究科美術専攻日本画領域修了。学部在学中に水
族館で見たクラゲに魅了されたのをきっかけに、海洋生物は今日まで山下のインスピレー
ションの源であり続けている。「簡単には触れられないもの、近づけないものへの憧憬」を
絵の中に託し、通常の美人画とは一線を画す人物像で定評を得てきたが、近年は実体験を投
影した、より精神性が感じられる画風へ拡張。この新境地の大作が 2025 年損保ジャパン
『FACE 展 2025』にて入選、併せてオーディエンス賞を受賞し注目を集める。情報化社会を
生きる現代人の内面に寄り添い、問を投げかける鏡として、山下の絵画は独自の柔軟性をみ
せている。これまでに、改組新第 4 回日展、第 8 回前田青邨記念大賞展、アートオリンピア
2019 学生部門、第 20 回佐藤太清賞公募美術展、等、受賞歴多数。
Selected Exhibitions
2025
グループ展『Dimensions IV-art is-』(ホワイトストーンギャラリー銀座新館、東京)
グループ展『大美人画展〜咲き誇る美〜』(東武百貨店池袋店)
個展『tide』(美岳画廊、東京)
2024
個展『toxin』(一兎庵ギャラリー、東京)
巡回グループ展『気鋭の美人画家展』(銀座三越本館)
2023
個展『room』(一兎庵ギャラリー)
2022
グループ展『アートのチカラ』(伊勢丹新宿店本館)
グループ展『她說−女性作家筆下的女性人物畫』(陸角銀 Sixpence Gallery、台湾)
2021
個展『neighbor』(銀座画廊・美の起原、東京)
グループ展『KENZAN2021』 (東京芸術劇場)
2020
個展『paraiso』(銀座画廊・美の起原)
2019
個展『twilight』(アートコンプレックスセンター、東京)
2025.11.28 - 12.27
『dimensionsIV-art is』展では、昨年に引き続き大阪・中ノ島『CAFÉ AMADEUS STORY』とのコラボレーションが決定!会期中、東京・大阪の二拠点で作品を展覧するほか、特製アーティスト・カードが封入されたCAFÉ AMADEUS STORYクリスマスティー・セット(50パック限定)も販売。大阪では「AMADEUS ACADEMY」の一環として、アーティスト・安藤しづか氏を招いてのトーク・イヴェントも開催いたします。
詳しくはこちら
*『Dimensions』過去の出展アーティスト一覧
2024: 秋山あいれ、小林望美、田中幹希、萩原睦、𣘺本悠、福濱美志保
2023: 飯島秀彦、うえだあやみ、遠藤仁美、谷村メイチンロマーナ、中西悠月、LICACO
2021: 今宮有葉、菊野祥希、具志堅詩織、坂本愛佳、塩沢かれん、谷村メイチンロマーナ、寺倉京古
Ginza New Gallery
Tel: +81 (0)3 3574 6161
Fax: +81 (0)3 3574 9430
Opening Hours: 11:00 - 19:00
Closed: 日曜、月曜
オープニングレセプション
2025.11.29(Sat) 4pm - 7pm
*作家在廊、クロストークあり ※Dallmayrカフェご提供
セミナー
2025.12.02(火) 2pm - 4pm
会場:CAFÉ AMADEUS STORY
WHITESTONE × CAFÉ AMADEUS STORY
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトに由来する、店名「AMADEUS」。時代と国境を越えて広く人々に愛されるモーツァルトの音楽のように、心地よく、美しく、健康的に日々に寄り添うハイクオリティな食文化をお届けすることをモットーとしています。バイエルン王室御用達・ダルマイヤーの珈琲や紅茶はもとより、CAFÉ AMADEUS STORYが提供する商品は、どれもヨーロッパや国内の厳選された生産者からセレクトされ、丁寧に、そして環境に配慮した製法で生産されたものばかり。先刻閉幕した大阪万博2025では、チェコ・パビリオンの公式パートナー・レストランとしても高い評価を得ました。
まるでヨーロッパにいるかのようなネオ・コロニアル・スタイルのカフェでのアート体験-あなただけのストーリーを紡ぐ機会となることを願っています。
また、東京ではホワイトストーン銀座新館でのオープニング・レセプション(11/28)で、60年以上の伝統をもつダルマイヤーのシグナチャー・ビーンズ「プロドモ」をご試飲いただけます。
















